大人になって増える虫歯「根面う蝕」とは
2019年5月10日
こんにちは、山中です。
一般的に虫歯ができやすいのは、歯の噛む面や歯と歯の間ですが、年齢を重ねると、むし歯治療後の詰め物などと歯の間に歯垢(プラーク)がたまりやすくなり、「再発むし歯(二次う蝕)」が起こりやすくなります。
子どもでは、歯を覆うエナメル質がまだ未熟で酸に弱いため、歯磨きが不十分になりがちな歯のかみ合わせ部分や歯と歯の間に虫歯ができます。
大人になると、エナメル質が成熟して、エナメル質が覆う部分は虫歯になりにくくなっていきますが、その一方で歯の根元にむし歯ができることが多くなります。
これが「根面う蝕」です。
健康な状態では歯ぐきがしっかりと歯の根元を覆っていますが、加齢や歯周病などによって歯ぐきが下がり、歯の根元が露出してきます。
歯の根元はエナメル質で覆われておらず、極めて酸で溶けやすい象牙質が露出しています。
象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、むし歯になりやすいためです。
子どもと大人で虫歯の種類が変わるのは、歯と歯ぐきの構造が年齢とともに変わるためです。
年齢を重ねると、唾液の量が少なくなることも根面う蝕が増える原因です。
唾液には、虫歯を防ぐ力があります。
糖尿病などの影響や、さまざまな薬の副作用で唾液が出にくくなると、虫歯に対する抵抗力がとても弱くなってしまいます。
唾液の分泌はかむことによって促されるので、食事がうまく摂れない要介護者の場合は、唾液が減る傾向がさらに強くなります。
特に高齢者のケアでは、口が渇くことを防ぎながら、根面う蝕を予防することが大切です。
根面う蝕では、歯肉が下がって露出した根面が虫歯になります。
ということは、「歯肉を下げないこと」が一番の予防になります。
◆歯周病を予防する
とくに歯肉が下がる原因となるのは「歯周病」です。
歯肉の腫れや歯のぐらつきなどを感じる前から、歯科医院にメインテナンスに通って、定期的に歯周病の検査をしてもらいましょう。
◆みがき方にも注意を
虫歯と同じように、根面う蝕の予防も歯磨きが基本です。
とはいえ、日常的に力を入れすぎて磨いていると、かえって歯肉を痛め、歯肉が下がる原因になります。
歯肉を痛めない、やさしく丁寧な磨き方をしましょう。
以前の記事「正しいブラッシング」ご参考になさってください。
歯並びや歯と歯ぐきとの隙間の大きさなど、人それぞれ環境が違います。
歯科医院で磨き方を教えてもらうのもおススメです。
特に「根面う蝕」は、虫歯になってから進行が早く、治療法も限られていますので、その前段階からの予防が大事になってきます。
歯磨きと合わせて日頃からのセルフケアでフロス、歯間ブラシなど効率よく使って、再石灰化・再結晶化力を高めておきましょう。